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VOL.3
タグボート用防舷材
開発プロジェクト

STEP 1
タグボートを進化させよ。

海上輸送は、世界の物流において、大容量貨物の流通を可能にする唯一の物流手段である。
経済の発展とともに、物流量は増え、船、港ともに以前より大型化する傾向にある。
船は大型化するほど操船が難しくなり、特に岸壁への接岸、離岸には、タグボートの支援が不可欠となる。
船の大型化に対応したタグボートの高機能化への支援。
それがシバタ工業に寄せられた顧客ニーズだった。

STEP 2
港での実績はあるが、船の実績は0。

船が岸壁に接岸する際、タグボートは、海側から船の横腹を押して接岸を支援する。
岸壁側には、船に傷がつかないようゴム製の防舷材(ぼうげんざい)という緩衝材が、いくつも取り付けられている。
船に傷がつかないように・・・タグボートも船に接触するじゃないか!
それならば、岸壁と同様に緩衝材が必要ではないか?
プロジェクトがスタートしたのは、日本が高度経済成長に湧く1960年代。
当時、タグボートに取り付けられていた緩衝材は、木材か、麻のロープを幾重にも巻いたもののどちらかだった。
これらの自然素材の課題は、ずばり耐久性。
水に濡れ、乾かされ、紫外線を浴び、タグボートの推進力を受ける。
その繰り返し・・・当然、すぐに傷む。
おまけに取り替えている間は、緩衝材が付いていないタグボートは使えない。
「頻繁に(緩衝材の)取替えばかりで、これじゃ仕事になったものじゃない。」
タグボートを所有する船会社は、この不便で経済性の低い緩衝材に悩まされていた。
「長期間、取替えずに済む緩衝材は無いか?」
そんな船会社の悩みを耳にした某造船所は、港の岸壁に取り付ける防舷材の分野で大きな実績を持つシバタ工業へ、新しいタグボート用の防舷材の開発を相談した。
港でシバタ工業の防舷材を知らない人はいないほど、岸壁用の防舷材での知名度は浸透していたが、船への分野は初めて。
「あんな大きな船に付けるものを、どうやってつくるか?」
右も左も分からない状況から、プロジェクトはスタートした。

STEP 3
完成まで、3年。

まず、プロジェクトメンバーは、造船所や船会社へ直接話を聞いてみた。
「タグボートの役割は?」
「タグボートは、日頃どういう風に使用されるのか?」
「天候等の使用条件はどうか?」
「緩衝材としての最適なサイズはどのくらいか?」
未知の分野で、聞いたことも無い専門用語も飛び交う中、粘り強くヒアリングを続け、商品開発する上で、クリアすべき課題を洗い出した。
その課題とは、
1) タグボートの推進力(押す力)に耐える強度はどのくらいか?
2) 海上での作業によるオゾンや紫外線に耐える素材はどんなものか?
3) 荒天時の船体の揺れで上下左右からかかる荷重をどうするか?
4) 推進力や船体形状を考えた防舷材のサイズはどのくらいか?
5) 船体のカーブした形状に合わせた取付けはどうするか?
等、課題は多岐にわたった。
上記のような課題に対して、手始めに従来から実績のあった岸壁用の防舷材を改良する形で開発プロジェクトは進められた。
厚肉で強度があり、同時に耐候性も兼ね備えた素材を開発、防舷材の形は、しなやかに曲がる竹輪のような円筒型を採用した。
タグボートの推進力に耐える強度を持たせるために、造船所や船の推進器メーカーの協力を仰ぎ、船の推進力を計算し、設計図から大型船に接触する部分や長さを計算して、最適なサイズを割り出した。
さらに、船体のカーブした部分に取り付けるために、円筒型のゴムの固まりを船のカーブに合わせて曲げる加工技術を考えた。
また、実際に試作品がタグボートにフィットするかどうか、実サイズでの検証も行った。
失敗につぐ失敗。
それを積み重ね、開発スタートから3年。
ようやくタグボート用の防舷材は完成した。

STEP 4
「なんだ、あのタグボートは?」

船体の周りに、木材や麻野ロープを取り付けるのが一般的だった時代に、
黒光りする円筒型の防舷材を身にまとったタグボートは、ある意味、未来的ですらあった。
話題が話題を呼び、受注はどんどん増えていった。
実はタグボートの形状は、一隻一隻異なる。
そのため、タグボート用の防舷材は、全てオーダーメイド(受注生産)となる。
ジャストフィットさせるためにはどうしても繊細な調整が必要になり、
注文から納品まで、どうしても一隻あたり約2~3ヶ月かかってしまう。
それでもひっきりなしに注文が舞い込んできたのは、シバタ工業の防舷材の耐用年数が20年以上と長く、また、この円筒型の防舷材を絶妙のカーブに曲げる技術を確立しているのが、世界でもシバタ工業だけだからだ。
さらに大型のタグボート用については、パーツに分割して運び、現地でドッキングさせ取り付けることも可能だ。
「タグボートと言えば、あの黒い竹輪がついている」
そう皆が思い浮かべられるほど、円筒型防舷材を身にまとったタグボートは浸透した。
シバタ工業は、「0(ゼロ)」からひとつの製品を生み出しただけでなく、港の風景までも変えてしまった。

STEP 5
国内シェアトップ

1960年代にプロジェクトがスタートしてから、現在までつくったタグボート用防舷材は数百隻以上にものぼる。
日本全国、ほぼ全ての港で利用され、国内シェアはダントツトップだ。
もちろん国内にとどまらず、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、香港、中東各国等、世界の港でも利用されている。
わずか1台の受注から、世界のどのタグボート用防舷材メーカーの追随も許さないほど、大きなシェアを獲得した“怪物”製品。
シバタ工業は、耐用性、経済性をクリアし、見事にタグボートの進化、高機能化を実現してみせた。

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