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VOL.2
帯電防止フレキシブルコンテナ
開発プロジェクト

STEP 1
プラントの火災を未然に防げ。

1960年代後半から1970年代前半にかけて、様々な産業分野で静電気を起因とする災害が発生した。
特に化学工業系プラントでの事故は規模が巨大で、長期にわたる操業停止や周辺環境に与える影響が大きかった。
石油化学業界や工業薬品業界等が原材料を運ぶために利用する、フレキシブルコンテナを製造しているシバタ工業は、災害を未然に防ぐために、静電気による着火爆発や粉塵爆発等、その危険性回避、対策に乗り出した。

STEP 2
静電気の研究者は少なく、文献もほとんどなかった。

まず初めに、シバタ工業のフレキシブルコンテナバッグを簡単に説明しよう。
この製品を端的に表すと“物流容器”になる。
石油化学業界や工業薬品業界等が、粒体や粉体になっている原材料を運ぶために利用するのが一般的な使い方である。
特に「フレキシブル」とついているのは、シバタ工業の製品はゴム製で、内容物を運んだ後、小さく折り畳んで返却でき、ドラム缶等に比べ、“柔軟性がある”という特長を持っているからだ。
このことにより、物流コストを削減できるメリットも発生する。
実は、このコンテナバッグを利用して内容物を運ぶ際、あるいは、内容物をコンテナバッグから取り出す際に、内容物と内容物、内容物とゴムが摩擦を起こし、摩擦帯電によりコンテナバッグ内に電気がたまる。これが静電気というものだ。
逃げ場のない電気は、限界に達すると、放電を起こす。
人が触れれば電導を受け、可燃物が近くにあれば、その着火源となり火事となる。
これが、静電気による着火爆発や粉塵爆発という静電気被害である。
しかし、誰もがパチッと経験したことのある身近な静電気を研究している専門家は少なく、そのため、文献もほとんどなかった。
コンテナに静電気対策を施す場合の明確な基準もなかった。
そして何より、シバタ工業の技術者にとって静電気は未知の領域だった。
静電気災害を未然に防ぐ静電気対策。
それは一刻を争うものだったが、シバタ工業は何もない中で、手探りで始めなければならなかった。

STEP 3
辿り着いた 最適抵抗値ゴム配合。

シバタ工業の技術者たちは、“コンテナバッグからいかに静電気を逃がすか”を考えた。
ヒントは、アースだった。
冬、ドアノブに触るとパチッとする。
それは、人間の身体が静電気により帯電しているからだ。
ドアノブを触る前に、アースで静電気を逃がしていたとしたら、静電気でパチッとすることはない。
ゴムの配合を変えて、抵抗値を低くし、コンテナバッグに電気がたまりにくくすればよいのだ。
しかし、抵抗値を低くするにしても、どの程度低くすればよいのか。
低すぎれば、電気がゴムを通りすぎて荷役作業をしている人に、
一般電気被害=感電の危険性を増やしています。
一方で、抵抗値が高いと、フレキシブルコンテナ内の電気をうまく逃がすことができない。
技術者たちは研究を重ね、最適な抵抗値をはじき出した。
10の5乗Ω、以上、10の8乗Ω未満。
この範囲であれば、人が感電することなく電気がうまく逃げないということもない。技術者たちは、この範囲で品質が安定するゴム配合を目指し、いくつもの配合パターンを考えた。
同時に引火試験を行い、どのパターンが安全であるかも確認していった。

STEP 4
強度、熱、品質保持という壁が立ちはだかる。

シバタ工業は、独自に最適抵抗値ゴム配合に辿り着いた。
しかし、その前に立ちはだかったのは、強度、熱、品質保持という問題だった。
電気的に問題のない配合のゴムでも、強度に問題があるものが出てきた。
コンテナバッグで運ぶのは、500kgや1t・3tという単位。
相当の強度が要求される。また、内容物の性質も変えてはならない。
例えばある樹脂を運ぶ際、熱で粘着あるいは劣化してしまったり、またはその樹脂が変質してはならないのだ。
技術者は頭を抱えた。
コンテナバッグで運ぶ内容物はさまざま。
内容物が違えば、静電気の発生の仕方も違う。
オーダーメイドで対応するしかない。
技術者は、オーダーを受けるごとに内容物を把握し、それに適した製品開発に取り組んだ。
そして、導電性、耐熱性、耐汚染性、強度をクリアした、ゴムのコンパウンドをゴム成形技術の確立のために、夜、ラインが止まった後、工場に持ち込んだ。
カレンダーマシンでシーティングしてみる。
しかし、うまくシーティングすることができず、不良品を見ながら問題点を洗い出し、もう一度トライする。
幾度となく、そして延々と続く試作を技術者は行った。

STEP 5
初出荷以来、静電気事故の報告は一度もされていない。

トライ&エラーを繰り返し、一つひとつオーダーに対応して、1970年からシバタ工業は、帯電防止フレキシブルコンテナバッグ“帯電防止エスコン”を世に送り出してきた。
いくつもの案件を手がけることによって、内容物に対して、どんな配合設計にすべきかのノウハウも蓄積されていった。
同時に開発改良も継続的に行い、現在ではそれぞれの用途向け材質として、カテゴリをつくることに成功した。
一つひとつ手作りだったものが、ある程度の再現性をもって、生産できるようになったのである。
シバタ工業の技術者は、静電気という未知の領域に飛び込み、何もないところから、さまざまな課題をクリアし、さらに生産を容易にするまでの道筋をつくった。
現在、静電気対策コンテナにも電気・電子関係の国際規格=IEC61340が交付され、それに伴い2009年に日本の国家規格JISC61340-4-4が制定されている。
この中で示されている最適抵抗値は、奇しくも、シバタ工業が独自に見つけた最適抵抗値と同じだった。
帯電防止フレキシブルコンテナの初出荷以来、今までユーザーからの静電気事故の報告は一度もされていない。

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